大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和63年(う)1155号 判決

被告人 細川喜也

〔抄 録〕

原審記録を調査して、所論の当否を検討すると、まず、刑訴規則四四条によれば、事件を簡易公判手続に付するについて検察官、被告人及び弁護人の意見を聴く手続は、公判調書の必要的記載事項とされていないところ、公判調書の記載事項をどのように定めるかは立法政策の問題であるうえ、同規定は、公判期日における訴訟手続に関する重要な事項であっても、一般に当然に行われる事項については記載を要しないとして、公判調書の記載の合理化を図る趣旨によるものであるから、同規定が直ちに、右の訴訟関係人の意見を聴く手続を定める刑訴法二九一条の二の法意にそわず、これに抵触するものであるとは考えられない。

そうすると、原審第一回公判調書には、原裁判所が本件を簡易公判手続に付するについて、検察官、被告人及び弁護人から意見を聴いた旨の記載のないことは、所論のとおりであるが、このことから、原裁判所が右手続を履践したか否か不明であるということはできないばかりでなく、本件を簡易公判手続に付した決定の前後における原審の訴訟手続の進行状況をみれば、原裁判所が訴訟関係人から異議がない旨の意見を聴いたうえ、適法に右決定をし、これに基づいて事後の証拠調べ等の訴訟手続を行っていることが優に推認できる。

したがって、訴訟関係人の意見聴取の有無が不明であることを理由にして違法ないし違憲をいう所論は、失当であり、また、簡易公判手続においてした原裁判所の証拠調べが違法であるという所論は、前提を欠くものであって、論旨は理由がない。

(柳瀬 横田 井上)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!